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ほとんどの人が知らないウールの問題

はじめに


こんにちは、谷家屋ブログです。


今回は皆さんの服選びの基準を変えてしまうかもしれないお話です。


皆さんは今日どんな服を着られていますか?


ニットセーターやカーディガン、コート、そんな身近なアイテムに使われているのがウールです。




暖かく柔らかい性質を持つウールは、特に秋冬のお洋服に欠かせない素材です。


本日のテーマはそんなウール素材に関する問題・ミュールシングという行為についてです。




ミュールシングとは


ウールはご存知の通り、羊の毛を刈って得られる天然素材。


動物が関わるわけなので、化学繊維や植物由来の素材にはない問題が発生してきます。


ウールの全体の生産量のうち、25%がオーストラリアで生産されています(2018年時点)。


そのオーストラリアの羊のうち75%はメリノ種という羊です。




メリノ種はより多くの毛を生やせるよう、皮膚の表面積が通常の羊の約2倍に改変されている種。


そのため、皮膚にはしわが多く、病気にかかりやすいという特徴があります。


特に臀部には汚れが溜まりやすく、それが原因で死んでしまうことも。


対策として、メリノ種を多く飼育しているオーストラリアやニュージーランドでは、70年ほど前にミュールシングという方法が開発され、実施されてきました。


ミュールシングとは、無麻酔で子羊の臀部をナイフやハサミで切り取るというもの。


オーストラリアで生産されたウールの約半分が、ミュールシングをされた羊から取られたウールだと言われています。


その残酷さから、動物愛護団体をはじめとして批判の声が高まり、ミュールシングをせず育てられたノーミュールシングウールしか使用しないというブランドや企業も出てきました。


無印良品やGAP、H&M、adidasなどが代表的です。


2018年にはニュージーランドでもミュールシングが全面禁止され、ミュールシングはなくなる方向へ動き出していると言えます。


谷家屋でお取り扱いさせていただいているブランド「山内」は、素材に対するこだわりも強く、ノーミュールシングウールにこだわって素材を選んでいます。





しかし事実、いまだにミュールシングがなされたオーストラリア産のウールは多く出回っており、私たちも確実に購入したり目にしていると言えます。


ミュールシングに賛成できないという考えがある場合、私たちも「ノーミュールシングウールしか購入しない」というような行動によって立場を示すことができます。


消費者である私たちは、お金を払うという行為が自分の意見表明であることを心に留めておく必要があります。




ノーミュールシングだったらいいの?


とはいえ、単純にノーミュールシングウールであればいいかというと、そうではありません。


ミュールシングはもともと病気への対策だったことからもわかるように、単にミュールシングをしないだけでは羊は病気で苦しむことになります。


その対策として言われているのは、以下の3つほど。


・麻酔と術後の処置を行った上でミュールシングを行うこと

・しっかり羊の健康状態を観察し、虫が出やすい季節には殺虫剤を使用すること

・品種改良が行われた種ではなく、その土地にあった自然な状態の動物を育てること


しかし薬を使った時点で「オーガニック」とは言えなくなってしまったり、手間がかかって値段が上がるといったデメリットも考えられます。


ペットの去勢はどうなるのか、食肉はどうなるのかなど、線引きの難しい問題ではありますが、私たち一人一人がしっかりと向き合う必要があると言えます。




最後に


皆さんは今回の記事を読んでどのように思われたでしょうか?


どのメリットをとってどのデメリットを受け入れるかは、私たちの行動と意見表明によって決まっていきます。


そして自分の立場を決めるためには、知識が必要です。


これからも谷家屋ブログでは皆さん自身がご自分で納得できる判断ができるよう、役に立つ情報を発信して参りますので、またご覧いただけますと幸いです。


それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。


ありがとうございました。





谷家屋

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